自分の考え方と専門領域を、AIの脳にする

自分の頭をAIに移す

どこに、どんな形で置いて、どう組み上げるか。結論から言うと、あなたはもう素材を持っている。足りないのは仕組みではなく、素材の書き方だ。今日できることから、ローカルで完結する完成形まで、4段階を1ステップずつ動かして見る。

言葉の整理。このページで出てくる言葉は、その場で全部言い換える。

01結論

先に3つ。この後の全部は、この3つの補足でしかない。

結論 1 仕組みより素材が9割 同じ資料を入れれば、どの道具を使っても似た答えが出る。差が出るのは素材の書き方。逆に素材が薄いと、どんな高級な仕組みを組んでも中身は空っぽになる。
結論 2 今日は新しいシステムを入れない あなたの founder/ は、すでに文字のまま置いてある。Claude Code はそのフォルダを直接読める。ファイルが数百までなら、検索の仕組みを足す前にここで足りる。
結論 3 ローカルLLMは「外に出せない」が理由になった時 手元のAIは、賢さで今のClaudeに届かない。それでも選ぶ理由は、機密・費用・止まらないことの3つ。理由が立つまでは急がなくていい。

02全体地図:4つの層のどこを作るか

「自分の脳を作る」は、この4つの層に分解できる。段階が上がるほど、右へ伸びていくだけで、左は作り直さない。

層 1
素材
考え方・判断・学んだこと。文字のファイルとして置く
置き場:founder/ のまま
層 2
加工
1つの塊=1つの主張に切り、見出しと日付を付ける
ここが一番効く
層 3
保管と検索
意味で探せる形にしまう。質問に近いものを取り出す
置き場:手元の保管庫
層 4
呼び出し
どのAIに、どう手渡すか。答えを組み立てる側
Claude Code か 手元のAI

↑ ボタンを押すと、その段階で作る層が光る。層1と2は一度作れば、その後ずっと使い回せる。

034つの段階を、1ステップずつ動かす

題材は全段階で共通。「この事業、続けるか閉じるか?」——この問いに、あなたの判断基準で答えさせる。

04ここが本命:素材の書き方

同じ出来事を書いても、書き方で使えるか使えないかが決まる。実際に起きたことを、両方の書き方で並べる。

使えない書き方
2026-08-23 打ち合わせメモ

今日は事業の方針について話した。
10事業やる方向で決まった。
いろいろ考えたけど、まずは数を
出すことにした。品質は後回し。
あと例の件も進める。
なぜ使えないか。①どれが決定でどれが雑談か区別が付かない ②「例の件」は後から誰にも分からない ③なぜそう決めたかが無いので、似た場面で応用できない ④検索しても、この文に何が書いてあるか予測できない
使える書き方
# 事業は「数を出す」と「磨く」の
# どちらを先にするか?

判断:数を出す
決めた日:2026-08-23
理由:前の組織は、客がゼロのまま
   契約書をv8まで磨いて死んだ
捨てた案:1本を完成させてから次へ
    → 完成の基準が自分の中に
     しか無く、永遠に終わらない
外れる時:すでに金を払っている客が
     いる場合は、磨く方が先
なぜ使えるか。見出しが質問の形なので、似た質問が来た時に一発で引っかかる ②理由があるので、書いていない場面にも当てはめられる ③捨てた案に基準が出る ④外れる時が書いてあるので、盲信されない
この4つが、そのまま素材の型になる。難しいことは何もない。書く時に見出しを質問の形にして、理由・捨てた案・外れる時の3行を足すだけ。この3行が、あなたの「考え方」の正体で、結論だけ集めても考え方は移らない。

素材は3種類に分ける

種類 1原則 いつでも当てはまる短い断定文。必ず「これが外れた事例」を付ける。反証の無い原則は、AIに丸暗記されて暴走する。
人間待ちを主経路に置かない
 外れる時:本人しか押せない
 承認が最後に1回だけ挟まる形
種類 2判断ログ その時々の決定。4項目で固定する——判断・理由・捨てた案・外れる時。数が溜まるほど、考え方の輪郭がはっきりする。
問い:この事業を閉じるか?
判断/理由/捨てた案/外れる時
種類 3知識 学んできた領域の中身。出典と日付を必ず添える。これが無いと、後から本当かどうかを確かめられなくなる。
事実:〇〇の相場は△△
出典:URL(2026-08-24 確認)
確度:実物を見た/伝聞

05実装形:どこに何を置くか

新しい場所を作らない。いま在るフォルダに、2つ足すだけ。

company/founder/            ← すでにある。ここが素材
├── principles.md           原則(反証欄つき)
├── decisions/              判断ログ(4項目固定)
│   └── 2026-09.md
├── knowledge/              学んだこと(出典つき)
└── voice/                  ← 足す① 自分の言い回しの見本
    └── 良い返答の例.md      段階3で使う

company/.brain/                ← 足す② 検索用。中身は自動生成
├── index.db                意味で探せる形にした保管庫
└── build.py                素材を読んで保管庫を作り直す

道具の選び方

それぞれの役割に、選択肢と推す理由を1つずつ。全部あとから差し替えられるので、最初の選択で悩まなくていい。

役割選択肢推し理由
答えを組む側Claude Code / 手元のAIClaude Codeいま毎日使っていて、フォルダをそのまま読める。乗り換えコストがゼロ
手元でAIを動かすOllama / LM StudioOllama文字を打つだけで動き、他の道具から呼び出しやすい
意味を数字に変えるRuri v3(日本語専用)/ BGE-M3(多言語)Ruri v3素材が日本語だけなら、日本語専用が有利。英語混じりならBGE-M3
保管庫Chroma / LanceDB / Qdrant最初はどれでも数千件までは差が出ない。件数が万を超えたらQdrantを検討
精度を上げる2段階検索(絞る→並べ直す)入れるまず50件に絞り、専用モデルで上位5件に並べ直す。効きが大きい
画面つき全部入りAnythingLLM / Open WebUI要るなら AnythingLLM出典の表示と資料の管理が最初から入っている。ただしあなたはClaude Codeで足りる
Claude Codeと繋ぐMCPMCP手元の検索を道具として登録すると、Claude Codeが自分で呼びに行く

064つの段階を横に並べる

段階0 フォルダが脳段階1 検索を足す段階2 手元のAIへ段階3 口調を焼く
始める合図今日ファイルが読み切れなくなった外に出せない話が増えた毎回同じ指示を書いている
作るもの素材だけ保管庫と検索手元のAIへの繋ぎ替え差分ファイル1個
手間ゼロ半日〜数日半日数日(教材づくり)
費用いまと同じほぼ無料電気代だけ計算用の部品が要る
答えの質高い高い+出典が付く落ちる中身は変わらない
秘密Claudeへ送る取り出した分だけ送る1文字も外へ出ない同左
素材の更新書けば即作り直しを1回走らせる同左学習のやり直し
やめた時素材はそのまま残るClaudeに戻すだけ差分を外せば元通り

07あなたの場合、次の1手

いまの位置
段階0.5 — 素材はある。使える形になっていないだけ。

founder/ に原則・判断ログ・知識がすでに文字で置いてある。これは多くの人が半年かけて溜める部分で、そこは終わっている。足りないのは、1つの塊が1つの主張になっていないことと、見出しが質問の形になっていないこと。

  1. 今日:判断ログの見出しを質問形に直す。「〜について」を「〜すべきか?」に変えるだけ。既存の分は、新しく書く時に直していけばいい
  2. 今週:4項目を固定する。判断・理由・捨てた案・外れる時。捨てた案が一番効くので、これだけは省かない
  3. ファイルが読み切れなくなったら:検索を足す。その時点で初めて保管庫を作る。素材の形が整っていれば、作業は半日で終わる
  4. 手元のAIは、外に出せない話が出てきてから。いま急ぐ理由が無い

08やってはいけない3つ

素材が薄いのに仕組みから作る
保管庫も検索も、入っているものしか返さない。空の棚に高級な扉を付けても、開けたら空。作る順番は必ず、素材 → 加工 → 仕組み。
会話ログを丸ごと全部入れる
雑談・言い直し・途中で捨てた案が混ざり、検索するたびにゴミが上位に来る。入れるのは結論と理由に整えたものだけ。量ではなく密度で効く。
考え方を学習で入れようとする
中身の書き換えが得意なのは話し方の型であって、判断の中身ではない。考え方は理由ごと素材に置き、検索で毎回手渡す方が、正確で更新もできる。

09言葉の辞書

LLM
たくさんの文章を読んで覚えて、人間みたいに言葉を作れるようになったAIの仕組み。
ローカルLLM
インターネットの向こうの会社ではなく、自分のパソコンの中だけで動かすAI。話した内容が外へ出ない。
RAG
質問に関係のある資料だけを先に探して、AIに手渡してから答えさせるやり方。
チャンク
長い資料を、探しやすいように数百字ずつの小さなかたまりに切ったもの。1つの塊に主張は1つが原則。
エンベディング
文章を、意味が近いものほど近い場所に並ぶ「数字の列」に変えること。言葉が違っても意味が似た文を探せる。
再ランキング
ざっくり集めた候補を、専用の判定役がもう一度見て順番を付け直すこと。検索の当たりが目に見えて良くなる。
2段階検索
まず速い方法で50件くらいに絞り、次に丁寧な方法で上位5件に並べ直す進め方。速さと正確さの両取り。
MCP
AIが外の道具(ファイルを見る・検索する等)を使えるようにする、共通の繋ぎ方の決まりごと。これで自作の検索をAIに持たせられる。
ベクトルデータベース
数字の列を大量にしまって、似ているものを一瞬で取り出せる保管庫。
ファインチューニング
できあがっているAIに追加の練習をさせて、中身の数字を少し変えること。話し方の型を身につけさせるのに向く。
LoRA
本体は凍らせたまま、小さな追加部品だけを学習させる方法。できるのは数十MBの差分で、外せば元通り。
Ollama
手元のパソコンでAIを動かすための道具。文字を打つだけで起動でき、他の仕組みから呼び出しやすい。
AnythingLLM
資料の取り込み・保管庫・画面が最初から全部入っているアプリ。出典を表示してくれる。
GPU
計算を大量に並行してこなす部品。AIを動かすだけなら軽いが、学習させるには余力が要る。